——地元のホープ“ピンクダイヤモンド”馬木愛里選手の欠場により急遽実現したルンピニージャパンウェルター級王座決定戦のチャンスです。

hasimotosatoru前回の前田将貴戦(※1)で負傷した傷も治って、いつでも試合の声がかかってもいいように練習していたので「待っていました!」です!

——岡山ジム主催興行は、“居合パンチャー”町田光選手や“THE CYCLONE”宮元啓介選手など橋本道場の主力選手たちが活躍してきた舞台ですが、意外なことに重鎮の橋本選手、初登場となります。

毎回、セコンドで岡山には来させていただいて、在間会長(在間啓一岡山ジム主催興行実行委員長)には「今度、うちのリングに上がってよ」と毎回誘っていただいているので、念願が叶いました!

——それにしても嬉しそうですね?

そ、そうですか?(汗) 喜入衆選手は、素晴らしい相手ですし、ルンピニージャパン・スーパーライト級王座決定戦で敗れたばかりなのに、欠場代打とはいえ凄いチャンスをいただいたんですから、そりゃあ、嬉しいですよ!

——毎試合熱戦となる名勝負製造機として知られる橋本選手ですが、ここで来歴もお訊きしたいと思います。苗字が同じの橋本敏彦会長とご血縁は?

しょっちゅう言われますが、親子でも親戚でもないです。ただ、親といる時間より長く接していますし、オヤジのような方だと自分は思っています(笑)。

——強面というかルックスにインパクトがあることでも有名な橋本選手ですが、生まれ育ちが東京都多摩地区(※2)となると壮絶な半生だったのではないかと想像してしまいます。

それもよく言われますが、残念ながら普通の家庭に生まれて、小中高と健全に過ごし帝京大学も卒業して、まったくもって堅気であります。ご期待に沿えずにすみません!(笑)

——日サロに日参りしておられそうな褐色の肌と旧車(セドリック)を乗りこなす様子からは、少々、信じ難いです。

元々、地黒で日サロには、一回行っただけで真っ黒になるのでこれは体質です。セドリックは、大事な愛車ですけど、最近、手放してしまいました。ヤンチャしていた友人はいくらかいますが、ホント、普通だったんですって!

——これは失礼しました。

けど、顔については、保育園の頃から「目つきがヤバい」などと言われ続けてここまできました(笑)。

——そこについて、憤慨なりコンプレックスは?

全然ないです。自分ではそこまで凄くないと思いますけどね。前田選手との試合を「強面白黒対決(※3)」と言われもしましたが、前田選手だって優しい顔だし。俺は、新日本キックボクシング協会の直闘(※4)選手が一番だと思いますけどね(笑)。

——(スマホで画像検索)……いや、なんというか、皆さん、同系統のご立派なお顔だと思います。そんな品行方正だった橋本少年の運動歴と格闘技との出会いは?

IMG_0576身体を動かすのは好きで、小さな頃、大人しかった自分が嫌で積極的にスポーツはしていました。中学は、野球部。高校は、バスケ部。けど、大会入賞を真剣に目指すほどではなくて趣味程度です。格闘技は、K-1やPRIDEがテレビでやっていれば、たまに見る程度で、特別好きだったわけではありません。ただ、高校時代、先輩からずっと「一緒に空手をやろう」と誘われてはいて、高三で部活を引退したのを機に地元の道場に入門しました。

——空手には多くの流派がありますが、どんな系統の?

伝統派の寸止めでした。試合にも出たんですけど、格闘技なのに、実際、殴り飛ばしたら負けになるってルールで、勝敗のつけ方もよく判らないのでイライラすることが多くて「キックボクシングだったら倒せば勝ちだよな」って橋本道場に行ったんです。23歳の頃でした。

——少年部から始める生徒の多い橋本道場(※5)では、珍しい年齢では?

そうなんですよ。ハルト(安本晴翔)やユウヤ(岩浪悠弥)の方が少し先輩になります。今残っている同期はいないんですけど、ケイスケ君(宮元啓介)が同じくらいでユウキさん、ソウタさん(※6)のいっこ下。年齢は、自分が1歳上ですけど、マチダ君(町田光)が少し先輩に当たります。キックボクサーの中では、一番年上だったタナカさん(※7)が引退されたので、道場歴はさておき、選手の中で一番年上にはなっちゃいました。

——なるほど、普段、セコンドにつかれたりリング下の様子で選手会長的まとめ役をされているのを目にしますが、それも納得です。

けど、空手式の練習前後の礼では、道場内の序列に則って、ユウヤとかに自分から挨拶に行くんですよ。

——そういったところは、空手道場が基本の橋本道場らしい様式美ですね。入門当初からプロ志望だったのですか?

橋本道場も友達のお兄ちゃんが少しいたことがあっての紹介で「とんでもなく厳しい」とは聞かされていたので、初めてドアを開ける時点でドキドキでした。練習はハードでついていくのがやっとだし、アマの試合に出はじめても自分からプロになんて言える感じではなかったです。ただ、リングで活躍する先輩たちが眩しくて「このまま頑張っていればいつかなれるのかなあ」って憧れでした。

——しかし、プロフィールを拝見すると入門から1年くらいの24歳でプロデビューされています。

アマで18戦くらいやってほとんどKO勝ちでしたし、なんとか。

——2010年3月27日のプロデビュー戦もしっかり3ラウンドKO勝ちで。

その頃から今まで変わらず倒すのは右のパンチですね。

——なかなかの有望新人だったのでは?

いや、うちはデビューから十なん連勝とか当たり前のエリートばかり、そんなの全然普通のことで目立つことなんかありません(笑)。

——2011年には、MA日本キックボクシング連盟の新人王トーナメントでは、K-1で活躍中の木村ミノル(木村“フィリップ”ミノル)選手と対戦されています。

パンチが速くってかわせなかったですね。この試合で初ダウンしてしまいました(結果は判定負け)。

——その後は、ハチマキ選手や翔・センチャイジム選手といった一流相手に敗戦はされていますが、それ以外はほぼ勝利で、2013年12月23日、INNOVATIONライト級王者、梶田義人戦で初タイトルを手にしています。

強いチャンピオンで勝てる気しなかったんですけど、なんとか。けど、その後が怒涛の5連敗なんですよ。

——黒田アキヒロ、宮越慶二郎、“DYNAMITE” 髙橋佑太、雷電HIROAKI、山口侑馬……と、皆、大物王者ぞろいの凄い面子です。

IMG_0556それにしても先の見えない暗闇で「俺なんかが試合してもいいんだろうか」ってかなり落ち込んじゃって。才能なんかありゃしない俺の武器は“気持ち”一本のはずなのに、特に雷電戦なんて、タイトル防衛戦なのに熱くなれなくて、試合中「なにやってんだろ?」って迷いに迷ってました。

——5連敗目でキャリア20戦の29歳。その時点で引退を決意されても十分なところを踏み留まれたのは?

「負け犬のままじゃ終われねえ!」って意地ですね。

——その後の現在に至る11戦は、8勝3敗。強豪の鈴木真治選手に打ち勝つなど大活躍です。

いやあ、やっとやっとですよ。鈴木選手の時なんか、開始早々にもらったローキックで「やべえ、これ倒れるヤツだ!」って焦って、実際、やられそうだったんですけど「橋本道場は腹と足じゃ倒れない」って困りもののスローガンがあるので、ど根性で踏ん張って、なんとかパンチでダウンを獲れたってギリギリの試合でした。

——それにしても勝敗にかかわらずいつでも熱戦の気がします。

立ち上がりトロいですからね。火が付くのがいつも後半だから、自然と勝った試合は、ほとんど逆転って感じになっちゃいます(笑)。

——そんな熱がバイプレイヤーとして好評なのではないでしょうか?

いやー、マチダ君やケイスケ君の活躍が派手で常に隠れてますよー(笑)。

——そんな目立った仲間たちにライバル心は?

自分の場合、それはないっす。一緒に切磋琢磨する仲間って。

——すでに二冠王であり、30歳を超えられた橋本選手ですが、今も闘い続けるモチベーションと目標はどこに?

自分が今から超一流になろうっていうのは、ちょっと違うと思うんですよね。それは、諦めじゃなくて、思い上がりたくはないって意味で。「誰に勝ちたい」とか「あのベルトが欲しい」ってのも、正直、モチベーションの根拠ではないです。そうですね……ただただ完全燃焼したい……それが一番の望みですね。

——その舞台や相手は選ばずに?

んー、贅沢は言わないみたいなこと口にしておいてなんですけど、KNOCK OUT、ここだけは目指したいっす!

——それは何故?

レギュラー参戦しているマチダ君たちのセコンドについてると「ここで完全燃焼できる試合ができれば本望だ」って感じでゾクゾクするんですよね。

——勝次選手などが凄まじい名勝負を連発するKNOCK OUTと常熱の橋本選手の試合は非常にマッチする気がします。

RIKIX(KNOCK OUTプロデューサー、小野寺力が会長を務めるジム)エースの前田戦で、がっつり勝ったら、マイクで「小野寺さん、俺をKNOCK OUTに出してください!」って叫ぼうと思ったんですけど、結果がああで……試合後の挨拶で真っ先に「再戦させてください!」って頼んでも「嫌です!」って言われちゃうし(涙)。それにしてもあの超一流のリングに上がるって確たる“資格”が必要だと思うんで、しっかりと喜入選手に勝ってベルトをいただきます! 相手やベルトにこだわりはないと言いながら、喜入選手ほどの実績あるベテランとやらせていただくのは光栄ですし、ずっと自分にチャンスをいただいているセンチャイ会長(※8)が管理するタイトルは、是非ともゲットしたいし、全力を尽くします!

——力強いお言葉、更なる名勝負を期待しております! ところで、ここからは余談ですが、Twitterを遡らせていただくだに、岡山ジム主催興行でレギュラー参加のラウンドガール、薬師寺美菜子(※9)さんの熱烈なファンとお見受けしました。

げっ!(汗) マジっすか?(笑) そこまでチェックされているんだったら、もう敵いません。はい、認めます! 今回の試合、最大のモチベーションは「薬師寺さんの前でカッコいいところを見せる!」です!(笑)

——硬派の権化のようなイメージながら、そんな一面が?

いや、自分、試合してもセコンドしても、その最中にラウンドガールに惹かれたことなんて一切なかったんです。けど、ミナコちゃんだけは特別でした!

——今回、彼女がラウンドガールをされるか否か定かではありません。

いなくっても、ミナコちゃんの心に届く試合をしてみせます!(笑)

※1 前田将貴戦 2017年7月9日、新宿FACE「MuayThaiOpen39 & Lumpinee Boxing Stadium of Japan」メインイベントで行われたルンピニージャパン・スーパーライト級王座決定戦は、実績に勝る橋本有利の展望の中、初回に鼻骨を骨折、2ラウンドに片眼が見えなくなる負傷を負った橋本がドクターストップの4ラウンドTKOで番狂わせを許してしまった。

※2 東京都多摩地区 古くは、新撰組が生まれ育ったように、三多摩は、アウトロー界で名立たる暴走族やチームを輩出し続ける聖地として一部有名だ。そのど真ん中、福生市に鎮座する橋本道場には、当地区の有名人が多数在籍しているが、橋本会長がその元祖という噂もある。

※3 強面白黒対決 橋本悟×前田将貴には、マニアが強面対決と喜ぶヴィジュアルインパクトがあった。

※4 直闘 新日本キックボクシング協会、治政館ジム所属、日本ライト級2位(2017年9月現在)の直闘(なおと)は、2015年8月30日に対戦しており、敵地に乗り込んだ形の橋本が2ラウンドKO勝ちを収めている。

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※5 少年部から始める生徒の多い橋本道場 多くの名王者を輩出し続ける名門・橋本道場は、特にジュニアファイターの強さが有名。加藤竜二や宮元啓介、岩浪悠弥などが少年部出身だが、今回の岡山興行に同じく出場する安本晴翔や中村龍登は、その流れの頂点的スーパーホープである。

※6 ユウキさん、ソウタさん 橋本道場OB、山本佑機と壮泰は、WBCムエタイやMAなど無数のベルトを獲得した双子の名王者“スーパーツインズ”として、2010年前後のキックボクシング界をけん引するスター選手だった。

※7 タナカさん 橋本道場OBの田中秀和は、思い切りのよい強打で密かに名勝負を連発する名選手して、WPMF日本スーパーライト級王者、INNOVATIONスーパーライト級王者だったが、2015年12月12日の試合を最後に引退表明。

※8 センチャイ会長 東京都中野区の名門ムエタイジム、センチャイムエタイジムの創設者で、現在、MUATHAI OPENなどの興行をプロモートし、レフェリーやブッカーなど多方面で活躍する在日タイ人の大物、セーンチャイ・トングライセーン。

※9 薬師寺美菜子 ファッションショーなどで活躍するモデルでテレビCMなどでも活躍中。2014年、ミスユニバース兵庫ファイナリスト。岡山ジム主催興行では、ラウンドガールを務めるだけでなく、熱烈なキックボクシングラブをSNSなどで発信する素敵な美女。

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オフィシャルブログ:https://ameblo.jp/s2minachuns2/

橋本悟のプロフィール

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リングネーム:橋本 悟
フリガナ:ハシモト・サトル
所属:橋本道場/Japan Kickboxing Innovation
生年月日:1986年3月18日
出身地;東京都西多摩郡日の出町
身長:172cm
戦型:オーソドックス
戦績:30戦17勝(8KO)11敗2分
ステータス:MuayThaiOpenスーパーライト級王者、元INNOVATIONライト級王者