1月17日「JAPAN KICKBOXING INNOVATION 認定 第7回岡山ジム主催興行」で「岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント」に出場する壱・センチャイジムの特集インタビューを公開させていただきます。

岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント出場メンバ—

岩浪 悠弥(イワナミ・ユウヤ/橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元INNOVATIONフライ級及びバンタム級王者、元WBCムエタイ日本フライ級王者、ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者、MuayThaiOpenバンタム級王者)

元山 祐希(モトヤマ・ユウキ/武勇会/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/ICO認定インターコンチネンタルフェザー級王者、INNOVATIONスーパーバンタム級3位)

壱・センチャイジム(イッセイ・センチャイジム/センチャイムエタイジム/元ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者)

加藤 有吾 (カトウ・ユウゴ/RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者)

※トーナメント準決勝戦の組合せは、前日計量終了後、出場者全員がカードを引き、1枚の当たりを引いた選手が対戦相手を指名する(4名トーナメントなので、それにより自動的に全試合決定)システムを採択。

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壱・センチャイジム、インタビュー

取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部

——“職業・イケメン”とのキャッチコピーが打ち出され、チャラさを自ら強調する壱(イッセイ)選手には、非常な向上意欲を感じます。

A96A1407チャラいのもイケメンもそのままでしかないですし、実は、今が一番モテてないくらいですよ(笑)。

——一体どれほどモテられていた?

物心ついた頃からモテてましたが、小学校低学年なんかモテすぎて女の子たちに囲まれて恐くなって泣いてたくらいですからね(笑)。

——幼少期からモテてもいたということですが、沖縄県那覇市で生まれ育った与那覇壱世(本名/ヨナハ・イッセイ)選手は、兄弟でジュニア空手の相当な強豪だったと聞いております。

空手も物心ついた頃には、すでにやってましたからね。従兄3人が習っていて、それで3才から自分もやりたがったらしくて、でも、そんなちびっ子を受け入れてくれる道場がなくて、5才になってようやく真樹道場沖縄支部に入れてもらえました。

——空手道場でもあり、キックボクシングジム(真樹ジムオキナワ)でもある名門ですね。

そのうち弟(与那覇主門)も一緒に始めて、極真系の県大会で優勝とか色々しました。空手だったらむしろ弟の方が凄かったかも。けど、どうしても好きじゃなかったらしくて、小学校卒業からすっぱりやめて、今じゃ東京に住んでるのにオレの試合の応援にも来ないくらいです。まあ、空手はオレも小学生でやめちゃいましたけど。

——それは何故?

ずっと道場通いだったのが飽きたのか、チームスポーツがしたくなって中学バスケ部(沖縄はバスケットボールが相当盛ん)に入りました。けど、すぐにスタメンになれないから退部してヤンチャ方面にいっちゃいます。

——リング上で見受けられる壱選手の屈託ない自由な様子からして、小さな頃からヤンチャで目立ちたがり屋?

それが幼稚園児の頃はハジカサー(沖縄語:恥ずかしがり屋)で人前に立って日直ができなくて泣いていたりしました。

——それがどこかで変化する?

空手です。ケンカじゃ負けようないわけで、特に小5でイジメっ子を叩いてヒーローになると目立ちたがりの自分も全開になって、モテ全盛期に突入です!(笑)

——恐いもの知らずの10代、派手なオキナワン青春を満喫といったところでしょうか。

調子に乗ってばかりいるので小中時代は、しょっちゅう髪を刈られて坊主でした(笑)。

——それでもモテる?

坊主にされるってチョイワルの証みたいなところがあって、余計モテるんですよ(笑)。

——中卒後は?

仲間と一緒にボクシングやったろうって陽明高校(浦添市のボクシング名門校)に入りました。

——成績は?

高3で県大会優勝からの高校総体ベスト8が最高位です。バンタム級(アマボクの場合、52-56kg)でした。

——高校卒業後は?

プロのジムからも誘われたし、推薦入学で大学だって行けましたけど、そこから夜の歌舞伎町でテッペン獲ろうと男仲間5人で乗り込みます。

——『新宿スワン(※1)』の世界?

詳しくは話せないですけど、ほぼそのまんまですね。新宿周辺に住み込もうってことでオレは高円寺にいました。

——那覇で遊び人だったとしても当時の歌舞伎町は驚きの世界だったのでは?

松山(那覇市の繁華街)の居酒屋でオードブルを配達するバイトをしてた時、シャレにならない喧嘩に巻き込まれることがしょっちゅうだったんで、むしろ歌舞伎町の方が治安が良いように思えました(笑)。

——そして、夜のテッペンに届くことはできましたか?

A96A1523良い時はありました。けど、そっからクズに堕ちちゃいます。その当時の彼女を泣かせるだけ泣かせて、遊び続けて、金もない。大好きだった彼女に去られて我に返りました。そして、呆然としつつ、自分に残ってるものって格闘技だけじゃないかって。

——まるでドラマです。そこからジムに?

もう何年ぶりかって久しぶりに真樹道場の安里支部長(真樹ジムオキナワの安里昌明会長)に電話して、高円寺だったら近くの中野にセンチャイムエタイジムがあると紹介していただきました。

——また、独特に硬派な名門ジムに出会ったものです。近代設備が整った瀟洒なキックボクシングジムだってインターネットで選べたはずです。

いや、そこは「これで決めた!」って、安里支部長を信じるこのやり方で頭から特攻しました。下調べなし、見学なし、体験なしでセンチャイジムに突入して「プロになります!」って、最初に入会金や初期費用を払ってしまって退路を断ちました。19歳の8月に。

——尋常ならぬ意気込みが伝わります。センチャイ会長も喜ばれたのでは?

「ナニかやってたのー?」って言われて胸を張って「ボクシングをやっていました!」からの「ボクシングとムエタイはちがうからねー、シャドーしてみてくださーい」でどうだとばかりにシャドーしたら10秒もしないうちに「はーい、もーいーよー」って。いきなり鼻っ柱を叩き折られた気分でした。

——なんとも肩透かしな。

ジムあるあるで「最初からプロになるって意気込んでくる奴、だいたいすぐやめる」っての、オレ、あれだと思われてたんだろうなーって(笑)。

——その空気はずっと?

いえ、入門1週間後、突然「はーい、タカくんとスパーして—」って、貴さんと肘ヒザありのガチスパーをすることになって。

——貴・センチャイジム(タカユキ・センチャイジム)と言えば、軽量級五冠王の強豪で、2016年7月17日、今回のトーナメントの優勝候補筆頭、岩浪悠弥選手にも勝利しています(判定2-1)。

A96A1528そんなの入って1週間のチャラ男が知るわけないっすからね。肘があろうが膝だろうが、パンチでぶっ倒してやろうって気合入りましたよ!

——大体、スパーでガチの肘ヒザがあること自体、珍しいです(理由:危険すぎるので)。

肘は流石にパットを付けました(笑)。

——そして、どんな内容に。

ズッタボロボロです! 鼻はひん曲がるし!

——自慢のイケメンが?

角度によっては前より高くなったからアリですけどね(笑)。

——その後のセンチャイ会長は?

その貴さんとのスパーの後に初めて褒めてくれたんですよ。「いーショウブだったねー」って。今でも忘れません。メチャメチャ嬉しかったです!

——そんな荒っぽい歓迎を括りぬけてからここまでどんな具合に?

アマの試合はすぐに出ました。6戦6勝5KOです。

——空手とボクシングの下地があるにせよ、恐ろしいまでの快進撃です。

中国でやったアマの試合は痺れました。相手は絞った上でゴツい60kg。オレはノー減量で通常体重の58kg程度。どうしようかってオロオロしてたらセコンドの会長が「イッセイくーん、ハイキックけりなさーい」って。それで試合開始早々に上段蹴ったらばっちりダウンさせて……「この人の言う通りにすれば間違いない」って確信が芽生えた試合でした。

——そこまで凄まじいアマ戦歴を刻んでからのプロデビューは?

入門から4か月後、2017年の冬にカクタニ戦です。

——NEXTLEVEL渋谷ジムの角谷祐介選手ですか……(試合結果記録を紐解く)これ、MuayThaiOpen&ルンピニースタジアムジャパン認定スーパーフェザー級ランキング戦と銘打たれているじゃないですか?

そうなんですよ! いきなりランキング戦ですから期待されてたかなー?

——ランキング戦もですが、契約体重スーパーフェザー級(58.97kg)で?(壱の試合契約体重は現在でも55kg前後)

そうなんですよ、相手デカかったー(笑)。

——結果、判定負けではありますが、さもありなんです。

会長、タイ人なので新人の勝ち負けなんてあんま気にしないんじゃないですかね?(笑)

——壱選手もそれを傷と思ってないようですが、その後、怒涛の14連勝を記録します。

そのまま「テッペンまで一気だな」っておごり高ぶってしまいましたよ。それが昨年末、岩浪選手に倒されてから悲劇の3連敗ですからね!

——14連勝の間には、HIROYUKI選手(元日本フライ&バンタム級王者)や小嶋勇貴選手(WPMF日本バンタム級王者、ルンピニージャパン認定同級、J-NETWORK同級王者)といった強豪が含まれています。

それにしても岩浪戦のKO負けはショックでした。

——岩浪選手の研ぎ澄まされた右ショートストレートも見事でしたが、そこでマットに頭を下したところに膝蹴りの追撃が反則打(倒れた相手への打撃)として直撃する事件もありました。

あんなの普通ですよ。完敗です! その代わりですよー、ZAIMAXトーナメント決勝戦では、たっぴらかします!(沖縄スラング:ボコボコにする)

——岩浪選手も前試合(2020年10月29日)、石井一成選手に衝撃的なKO負けを喫し、リニュアル・パワーアップしての優勝を誓っています。

岩浪戦からちょうど1年くらい経つわけですよね? まー、オレ成長の速さは光なんで、もう追い越して差が開いちゃってます!

——説明不足で説得力がありません。

23年生きてきて、今が一番モテてないんですよ!

——それは何の関係が?

昨年12月に入寮したんです!

——センチャイジムの寮に?

タイ人トレーナーのコーチと同居ですよ。心機一転、毎朝走ってます!

——それは、夜の世界に生きてきた壱選手にとっては画期的なことかもしれませんが、トップファイターなら当たり前の練習です。

hiramatuyuuisseisenntyai大切なのは意識です! 今まで連勝していた時、正直、「練習よりも酒と女」な選択だってしていました。それが真面目を絵に描いたいようになったらどんだけ爆発的に成長するか? 今、練習以外にすることと言えば、鏡を見つめることとネコタと遊ぶことだけですよ!

——ネコタ?

沖縄から連れてきたうちのニャーさんです(笑)。

——しかし、そこまで転換させたほど岩浪戦のショックは大きかったのですね?

いいや、それだけじゃないっすよ! その後、ルンピニースタジアムで負けた(2020年2月14日、判定敗)のもだけど、エイちゃんですよ!

——エイちゃん……昨年9月13日、後楽園ホール、KNOCK OUTの小笠原瑛作戦(1ラウンドKO負け)ですね?

あれにとどめを刺されました。岩浪選手は、今回、倒して優勝するからいいけど、エイちゃんだけは許しません!

——ともかく、デビュー戦で黒星からの14連勝からの3連敗で昨年12月6日に鈴木貫太戦を判定勝利で復活し勢いをつけて岡山に乗り込むわけです。ここでトーナメント参戦ほか3選手の寸評をお願いします。

岩浪選手、今、3つの勝ちパターンが見えるんです。どんなに脳内シミュレーションしても勝利しか見えない。「オレ、なんで負けたんだろ?」って(笑)。

——寸評ではありませんでしたが、次は元山祐希選手。

身長165cm以下で60kgくらいで試合してるんですからガッチリ体格のパワーだよりですよね? それは得意なタイプだわー。スピードで余裕です!

——最後に加藤有吾選手。

何度か(試合を)見ました。連打をまとめるのも巧いし、なかなかじゃないですか? 相手に合わせて戦術を変えるとか必要ない自分の確かなスタイルを持ってますね。けど、今あるオレのスキルで問題なく勝てます。岩浪選手みたいに特別な作戦はいらないなと。

——そして、トーナメントの組合せが、前日計量終了後、出場者全員がカードを引き、1枚の当たりを引いた選手が対戦相手を指名する(4名トーナメントなので、それにより自動的に全試合決定)システムを採択しています。当たって指名権を得たら、誰と初戦を戦いますか?

決勝で岩浪選手を倒して劇的なリベンジ成功アンド優勝する為には、それ以外。つまり、元山選手か加藤選手ってことですよね。そうしたら、そりゃあ岩浪×加藤で削り合っていただきましょう! オレは得意なパワフル元山選手をシュシュシュっとやっちゃいます!

——そこまで勝負を見越しておられるなら、その先もすでにご予定済みなのでは?

当然です! とにかくエイちゃん! ただ、いつどこでやっても勝てばいいってことじゃないです。恩返し。それがパワーワードです!

——恩返し?

オレの試合を組んで育ててくれたイベント、MuayThaiOpenやKNOCK OUT、REBELSに金の雨を降らせたい! エイちゃんには、KNOCK OUTでやられたんだから、KNOCK OUTのリングで最高のタイミング、そこで倒します!

——最高のタイミングとは?

この前の大晦日のRIZIN、メインの堀口恭二と朝倉海、凄かったですよね? そして、また3度目の対決がもっと盛り上がりそうなわけで、そういうのがいいですよね! それには、オレの価値をブチ上げとかなきゃならないわけで、今回のトーナメント、その重要な栄養とさせていただいて美味しくいただきます!

——ポジティブオーラのキラキラが天井知らずに舞い上がっているようです。

もうね、ガンガンいきますよ! 試合以外、YouTubeチャンネルとかもやりたいなぁ。会長いぢりが許されるなら、とんでもない大爆笑の神回を連発できるんだけど、許してくれるかな……「イッセイくーん、それはダメですー」って言われたりして(笑)。

——そんな壱選手がどこまでいくのかこれからも楽しみにしています。

23才って若いようでそうでもないです。オレは、30才まで格闘技をやる気はありません。今はどこまでだって強くなれる確信しかないけど、成長が止まったことを悟ったら、その次の試合で終わります。魔裟斗さんもそうだったし、わったー(沖縄語:われらが)安室奈美恵がそうじゃないっすか。オレについてきてくれれば、それ以上のもの魅せますよ! とにかく注目してください! 

※1 新宿スワン 『週刊ヤングマガジン』に連載されドラマ・映画化もされたヒット漫画。新宿歌舞伎町のスタウトマンを通して描かれる裏社会ドキュメント的作品。

壱・センチャイジムのプロフィール

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リングネーム:壱・センチャイジム
フリガナ:イッセイ・センチャイジム
所属:センチャイムエタイジム
生年月日:1997年8月15日(23歳)
出身地;沖縄県那覇市
身長:172cm
戦型:サウスポー
プロデビュー:2017年11月26日
戦績:20戦15勝(7KO)4敗1分
ステータス:元ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者
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